グループホーム

グループホーム ほっぷ1

「ないものは創っていこう!」は育てる会が生まれた時からの合言葉でした。
子どもたちの余暇支援から始めて、自閉症理解のためのセミナー、支援者の方を対象にした即実践講座、そして早期発見・早期療育のための児童デイサービスや発達障害支援センター・・・
走り続けているうちに、気がつくと会が出来てから20年が経っていました。
まだ幼かった子どもたちも成人して、社会の中で働き始めています。次は、親たちがいなくなっても彼らが地域の中で普通に暮らしていける場が必要になってきました。

待っていても、誰も作ってくれないのなら、自閉症の特性に配慮したグループホームが周りにないなら、自分たちで創っていこう!
こうして0からのグループホームの建設が始まりました。
設計開始時には、成人してグループホームへの入居を希望する会員が6人だったので、6部屋のグループホームです。
大勢の方からの寄付も集まり、会社を辞めてまで子ども達のために世話人を引き受けてくださる方も見つかり、みんなの力を合わせてグループホームが完成しました。


「ほっぷ 1」の名前について

グループホームの名前についても、みんなで話し合いました。
障害者のグループホームを建てる時、「終の棲家」と考える方が多いようです。ここが人生のゴールなのでしょうか。

私たちは、地域で普通に暮らすためのスタートだと思っています。独身の青年たちが、世話人さんや生活支援員の方に囲まれて暮らしているのは、やはり「普通の」暮らしではないですね。
いわば舎監さんのいる、規律を守っての寄宿舎のようなものでしょう。

支援を受けながらも普通に暮らすためには、やはりここをスタートとして「ホップ、ステップ、ジャンプ」と、より自立度、自己決定権の高い暮らしを目指していくのが、子ども達の望む暮らしだと思います。

すてっぷは、もう少し自立度の高いグループホーム(たとえば、夜間は世話人さんのいない暮らし)、じゃんぷは少しの支援は受けながらも街中でのひとり暮らしの生活・・・というイメージです。
したがって、ほっぷ 1では世話人さんは一般のグループホームのように食事は作りません。その時間を自立に向けての、各入居者への支援にあててもらっています(食事は別の生活支援員の方が作っています)。

子どもたちが、自らの人生の主人公として、自分の望み通りに生活を組み立てられるように願っての「ほっぷ 1」です。


グループホーム併設カフェ スプリング カムカム

グループホーム建設にあたって一番気をつかったのが、地域での受け入れでした。
建設反対運動がおこり、やむなく街中での暮らしを断念して人里離れた地に建設を余儀なくされたという話も聞きました。しかし、ほっぷ 1の入居者たちは運転免許を持っていません。彼らが普通に暮らしていくためには、公共交通機関の便が良い街中での生活しかありません。
そこで、どうすればグループホームが受け入れてもらえるか、考えました。自閉症への正しい知識を持っていただき、彼らの理解者になってもらえるのが目標ですが、そのためにはどうすればいいでしょう。

思いついたのが、入居者たちが働きに出ている昼間の食堂を、地域のひとたちに開放してカフェとすることでした。ここが地域の社会資源の一つとなり、みなさんが食事に来てくださることで、自然に自閉症についても知っていただけるようになればと考えました。

そこで、設計の段階から、表通りに面した2階(坂の途中に建っているため、2階がちょうど表通りの高さに合っていました)にカフェ・食堂を計画し、造作や厨房機器も客用のものを揃えました。

おかげで、反対運動も起こらず、オープン後は近くから徒歩や自転車で来てくださる常連さんもできて、入居者たちも暖かい視線に囲まれて暮らせています。